氷川通信
狛犬~邪気を祓い、神社を守る石像~
参道の両脇に置かれている一対の狛犬(こまいぬ)は、神社の守護や魔除けといった役割を果たす獅子像のことです。
日本へは朝鮮半島の高麗(こうらい)経由で伝えられたとされます。伝来当時の日本人は、獅子を実際に見たことがなく、異様な姿をした犬だと考えました。そのため高麗の犬ということで「高麗犬(こまいぬ)」と呼ばれ、やがて「狛犬」と称されるようになったといわれます。魔除けとして置かれたことから、「拒魔(こま)犬」を語源とする説もあります。
祝詞~神様へ捧げる繁栄への祈り~
祝詞(のりと)は神事の際に、神職が神様に奏上する言葉のことです。抑揚があり、語尾をのばす独特の節回しが特徴となります。一般的に、神様に申し上げる言葉の「宣説言(のりときごと)」の省略といわれており、神様の日頃のご加護に感謝するとともに、個人の幸福、ひいては社会全体の安泰を願う内容となっております。
延長5年(927年)に成立した『延喜式(えんぎしき)』に収録されている祝詞が、現存する最古のものと伝えられています。
年間の祭典 11月 新嘗祭
伊勢神宮で収穫祭として神嘗祭(かんなめさい)が行われるのに対して、宮中では11月23日に天皇陛下がその年の新穀を神々にお供えする新嘗祭が行われます。
新嘗祭の起源は、皇祖神 天照大御神が地上に降臨する皇孫(こうそん)に、斎庭(ゆにわ)の稲穂を授けたことにさかのぼります。神々が住む高天原で育てられた稲穂が、皇孫により初めて地上・葦原中つ国にもたらされたことで、日本の農業が始まりました。新嘗祭は、この恩恵に対して皇孫にあたられる天皇陛下自らが、五穀豊穣の感謝を神々に報告する神事となります。
全国の神社でも新嘗祭が行われ、国を上げての収穫感謝祭となっております。
厄年の意味と由来について
日本では古くから、人の一生のうち、体力や家庭環境、社会生活などにおいて転機を迎える節目の年齢は、災厄に遭いやすいと考えられてきました。
この年齢を「厄年(やくどし)」といいます。
厄年は、数え年で男性は25歳・42歳・61歳、女性は19歳・33歳・37歳とされます。厄年の前後はそれぞれ前厄・後厄といい、やはり注意が必要な年とされます。とりわけ男性の42歳は、「死に」に、女性の33歳は「散々」に通じることから、大厄として特に忌み慎む年齢だといわれることもあります。江戸時代には、すでにこの語呂合わせが存在していたようです。
七五三詣~お子様の健やかな成長を願う神事~
11月15日、3歳の男女児、5歳の男児、7歳の女児が神社へ参拝する「七五三詣」が全国で行われます。
日本では古来、「七歳までは神の子」と言われるように、子供の死亡率が高く、無事に成長していることが大変めでたいことでありました。しっかりとした子供に成長できるように、節目節目に祝い事を行ってきました。
3歳の男女児は『髪置き(かみおき)』とよばれる、頭髪を伸ばし、整え始める儀式を行っていました。3歳頃までは、頭頂部の髪を残して剃っていましたが、髪置きを終えたこどもは、大人と同様の髪型にすることができるようになります。5歳の男児は初めて袴をはく儀礼である『袴着(はかまぎ)』です。碁盤の上に乗って四方に祈りを捧げる風習もあります。これはどちらの向いても勝つようにと願いが込められております。7歳女児は、女の子が付け紐を解き、初めて大人の帯をつける『帯解き』を行っていました。